J-POWER People
スピーディーな社会実装を泥臭く。新規事業を持続可能な未来につなぐ
更新日:2026.6.17
公開日:2025.6.29
社会実装を見据えた積極的な伴走を
イノベーション推進部の福岡卓也です。2026年4月に、企画室 事業開発タスクへ着任しました。
現在は、イノベーション推進部の新規事業案件であるデータセンターに関わる業務を担当しています。さらに、次なる新規事業化に向けて、スタートアップ企業の探索や支援にも取り組んでいます。
スタートアップへの具体的な支援として、出資にとどまらず積極的に伴走することをモットーにしています。技術や事業構想だけでは社会には届きません。商用化に向けたPoC(概念実証)を行い、実装の現場で生じる小さなつまずきや想定外の制約、関係者間の調整――そうした地に足のついた工程にしっかり並走してこそ、スピーディーな社会実装につながると考えているからです。
着任から1か月ほどですが、ようやく周りが見えてきた段階で、これからどんな技術や人と出会えるのか、率直にワクワクしています。
電気を生み出す現場で学んだ「縁の下の力持ち」
学生時代は、電気・情報生命工学科で学びました。学科名のとおり、電気の領域から半導体、プログラミングといった情報分野、さらには遺伝子工学まで、非常に幅広い学問に触れられるユニークな学科です。
正直に言うと、入学当初は生命系の研究をやりたいと思っていました。けれども学んでいくうちに、インフラとして社会に深くつながっている電気に対して「コンセントからこの世界全部がつながっているんだな」と魅力を感じるようになり、最終的には電力システム工学を専攻することにしました。普段なにげなく使っている電気がこれだけ多くの仕組みと人の手によってつくられているのかと知ったときの面白さは、今でもよく覚えています。
J-POWERという会社を選んだ理由は、日本全国、そして海外の電力を「縁の下の力持ち」として支えている存在感に惹かれたからです。24時間休まず電気を支える仕事への憧れは、自分の中で確かなものでした。
入社して最初の10年間は、広島県の竹原火力発電所に勤務しました。当初は5年の予定で配属されたのですが、結局10年そこで過ごすことになります。竹原火力発電所は運転・保守だけでなく、当時ちょうど建設も動いていた地点でしたので、火力の現場で学べることをひととおり経験できました。
学生時代に思い描いていた電気の世界と、現場で目にした電気の世界は、ずいぶん印象が違いました。意外なほどアナログで、泥臭い。大きなバルブを、汗をかきながら手動で回したり、200人規模の常駐スタッフがそれぞれの持ち場で仕事をつなぎ合わせて、ようやく発電が成り立っていく。普段意識されない発電の裏側でこれだけの人が動いているという事実は、私の電気観を大きく変える経験でした。
特に印象深かったのは、初めての建設業務です。最初は誰かの下について学ぶものだと思っていたのですが、気づけば一人で、主担当を任されていました。正直に言えば怖さもありましたが、未経験のままでもバリバリ動ける環境がJ-POWERにはあって、その経験が後のキャリアを支えてくれていると感じます。J-POWERは決して大きすぎる組織ではなく、部長との距離も近く、誰がどんな仕事をしているかが見える規模感です。フットワーク軽く動けるところは、大きな魅力だと今でも感じています。
大崎クールジェンで培った他社との共同事業推進
2020年に本店へ異動し、エンジニアリング部門で地熱発電所や新規火力地点の電気基本設計を担当しました。その後、開発部門に移り、広島県の離島・大崎上島にある大崎クールジェンプロジェクトの企画推進を任されることになります。
大崎クールジェンは、J-POWERが長年取り組んできた「石炭ガス化」を核とする高効率発電技術の実証拠点で、隣接するカーボンリサイクル実証研究拠点と合わせて、最先端の脱炭素化技術が研究されている場所です。私が担当したプロジェクトは、大崎クールジェン株式会社が保有する石炭ガス化技術、株式会社日立製作所が保有するエンジニアリング力、そしてスタートアップ企業のメタン生成菌を用いたメタネーション技術を組み合わせた実証事業の立ち上げでした。
このプロジェクトでの経験は、今のキャリアにとって決定的な意味を持つものになりました。J-POWER単独では実現が難しい事業も、他社と手を組み、互いの経営資源を補完し合うことで、ぐっとスピーディーに開発を進められることを、身をもって理解できた経験でした。竹原火力発電所時代はグループ会社含めて当社の同じ文化の中で動いていましたが、大崎クールジェンではNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)さんのご支援の下、中国電力さん、日立製作所さん、さらにスタートアップが加わる構成で、文化も意思決定のスピードもまったく違う。その違いに戸惑いながらも、組み合わせの妙が事業を前に進めていく手応えがありました。
新規事業の創出は当然だが、意識的に取り組まなければ生まれない
イノベーション推進部に異動するきっかけは、もともと社内の希望調書で書いていたこともありましたが、直接の引き金になったのは社内研修である「創発塾」で、新規事業を役員に直接プレゼンする機会を得たことでした。
新規事業への強い動機に、石炭火力発電事業を取り巻く環境の変化がありますが、新しい事業を立ち上げることについては、特別なものだとあまり思っていません。会社にとっても人間にとっても、新陳代謝は当然必要なものだと考えているからです。新しい命が生まれ、いずれ役目を終えていくサイクルは、企業活動においても同じはずです。ただ、当社のようにひとつの発電所を建設し数十年単位で運用していくタイプのビジネスにおいて、発想として新規事業はなかなか出てきにくい側面があるのも事実。だからこそ、意識的に取り組む価値があると感じています。
現在担当しているデータセンター事業は、これまでのキャリアと一見遠い領域に見えるかもしれません。けれども、実際に取り組んでみると、自分が培ってきた知識が活きる場面が多くあります。
データセンターの建設は、電気・通信・土建の総合的な仕事です。竹原火力発電所で建設を担当した経験がそのまま役立ちますし、本店時代には蓄電所の検討にも携わっていたので、パッケージ化された設備という意味では蓄電池とデータセンターとは共通点が多いんです。コンテナ型は建設期間が短くできるという利点もあり、設備としては非常になじみがあります。一方で、計算処理や通信の細かな領域はこれから勉強が必要で、毎日が新しい学びですね。
持続可能な社会を実現できるあらゆる技術を、社会に実装していく
個人的にもっとも関心を寄せているテーマは、長期エネルギー貯蔵システム(LDES:Long Duration Energy Storage)と、分散型エネルギー源(DER:Distributed Energy Resources)です。
LDES、いわゆる蓄電ビジネスは、今後ますます重要になっていく領域だと考えています。再生可能エネルギーの拡大に伴い、昼間帯には電力卸価格が0.01円といった水準まで下がる時間帯が増えています。そういった安価な電気をバッテリーに充電し、価格の高くなる夕方に放電する、あるいは火力の減少によって難しくなっていく系統周波数の調整に役立てるといった使い方ができるからです。
このビジネスが特に有望なのは、火力地点の跡地利用との相性が非常に良いという点です。大電力の充放電には、火力発電所がもともと持っている送電系統や広い土地が活きてきます。一般的なリチウムイオン蓄電池は4時間程度の貯蔵が主ですが、レドックスフロー電池のような液体電池や、空気を圧縮して貯蔵する圧縮空気エネルギー貯蔵といった、さらに長時間の貯蔵を可能にする技術の研究も、いま非常に盛んです。スタートアップが数多く出ている分野でもあります。
ただ、スタートアップ単体ではどうしても規模感をつくるのが難しい領域です。J-POWERがアセットを提供することで、一緒に事業をつくっていけるはずだと考えています。
DERは、大規模な火力地点跡地での展開だけではなく、過疎地や災害時にも電力を届けられる電源として、これからますます意味を持っていくと思います。当社が出資している環境微生物研究所のように雑草や野菜くずのような廃棄物を使って発電する技術は有望であり、農業とセットで未利用の植物資源を電気に変えるような小規模な仕組みは、平時にも災害時にも役立つはずです。
よりマクロの視点から私が向き合っていきたいのは「持続可能な社会を実現できるあらゆる技術を、社会に実装していくこと」です。エネルギーに限らず「必要とされる技術を必要な場所に届ける」。結果として、J-POWERの企業理念である「人と自然の調和を図りながら、必要なエネルギーを供給する」ことにつながっていくのだと思っています。
「持続可能性」という言葉について、私なりの考えを少し補足させてください。
私は、石炭も現代に必要だと思っています。これだけ再エネが増えていく中で、いずれ電気が余剰になる世界が訪れる可能性はあります。けれども過渡期にある今、それぞれの時代背景の中で必要とされるものを、適切なかたちで提供できるかどうか、それこそが「持続可能」ということなのではないでしょうか。
不要なものをつくり続けても、本当の意味で持続的ではない。一方で、本当はやめたいけれど、代替がないために使い続けざるを得ないものもある。そうしたものに対して、同じ価格か、それ以上の合理性をもった選択肢を提供できれば、社会は自然とそちらにシフトしていきます。社会が求めるもの、人々が求めるものをきちんと提供しつづけること。それが、J-POWERの役割の、根っこにあるものだと思っています。
イノベーション推進部で実現したい未来
私がイノベーション推進部で実現したいのは、「日本と世界の持続可能な発展に貢献する新規事業を創出すること」です。
事業環境の変化が加速する中で、持続可能な発展を実現するためには、既存事業の競争力強化に加え、新たな成長領域の創出が欠かせません。新規事業を通じて新しい収益源とケイパビリティを獲得しながら、事業ポートフォリオの新陳代謝を促していく。そうすることで、変化に柔軟に対応できる企業体質へと進化していく必要があります。
そのためにも、スタートアップ企業や、ファーストムーバーとして事業化を進めている大企業と協業し、互いの強みを掛け合わせて、スピーディーな社会実装を進めていきたい。火力の現場で培った「泥臭く現場と並走する」姿勢を、新規事業の世界でも貫きたいと考えています。
LDES、DER、データセンター、そしてその先にある持続可能な技術の社会実装といった領域に関心を持たれている方、一緒に何かを動かしていきたいスタートアップや事業会社の方は、ぜひ気軽にお声がけください。同じ志を持つ方々と積極的に意見を交わしながら、次の時代の事業を共創していけることを楽しみにしています。

Author
イノベーション推進部 企画室(事業開発タスク)
福岡 卓也
Takuya Fukuoka
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イノベーション推進部 企画室(事業開発タスク)
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J-POWER Innovation Catalog〜未来を共創する羅針盤
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