CREATING NEW FUTURES TOGETHER

Project

更新日:2025.10.31

公開日:2025.10.31

オイルパーム廃木が拓く循環型社会――「発電だけでない」J-POWERの挑戦

    J-POWER(電源開発株式会社)は、オイルパームの廃木をバイオマス資源として利活用するプロジェクトをGreen Earth Institute株式会社(以下、GEI)と共同で進めています。解決したいのは、インドネシアやマレーシアで行われるオイルパーム農園における大規模栽培の高環境負荷という課題。持続可能な循環モデルの構築を目指す「OPT(オイルパームトランク)」プロジェクトの現在地点を紹介します。

    放置されるOPTが抱える課題

    J-POWERはGEIと協働し、持続可能な社会を目指す取り組みの一環として「OPT(Oil Palm Trunk:オイルパームトランク)」プロジェクトを推進しています。

    オイルパームは、パーム油の原料として主にインドネシアやマレーシアで大規模に栽培されており、オイルパームから搾油されたパーム油はチョコレートや石鹸などに使われます。オイルパームの大規模栽培は東南アジア諸国の地域経済を支える重要な産業ですが、定期的な植え替えによって大量に発生する伐採した幹、いわゆるOPTの処理には課題があります。

    オイルパームは植栽から20年ほどで老木となり、伐採されます。伐採されたOPTはフィールドに放置され、数年にわたり自然分解に任せられることが多く、その過程で温室効果ガスの一種であるメタンガスを大量に発生させることが予測されます。

    メタンガスはCO2の25倍もの温室効果を持つため、環境への負荷が極めて大きい点が問題視されています。さらに、放置されたOPTが病害虫の温床になり、農業環境に悪影響を及ぼしているとの指摘もあります。このような背景から、持続可能なOPTの処理・利用方法を確立することが急務とされています。

    GEIとの連携でOPTに新たな価値を

    このような課題を抱えるOPTですが、適切な前処理を行えばバイオマス資源として再利用できる可能性も秘めています。OPTには水分とC6糖が豊富に含まれており、糖源として利用する高いポテンシャルがあります。

    実際に重要なのは、雑菌を多く含むOPT搾汁液をいかに効率的に前処理し、発酵可能な糖液に変換するかという点です。発酵以降のプロセスはすでに確立された技術であるため、この前処理技術こそが事業の要となります。

    化学品およびバイオマス燃料の複合生産の概要図

    GEIには、サトウキビやトウモロコシなどの食用資源を用いず、木材や農業残渣(ざんさ)などの非可食資源から高効率で化学製品を製造できる強みがあります。この技術を活かせば、OPTから糖液を取り出して化学製品へと変換することも可能です。製造された化学製品は、例えば飛行機のバイオジェット燃料やバイオプラスチックの原料などへの活用が検討されています。

    OPTの糖液から発酵、製品化まで現地で完結するモデルを構築できれば、その経済発展にも寄与できるでしょう。OPTの新たな価値を創出することは、資源循環の話にとどまらず、地域との共生や経済と環境の両立を図る観点でも意義のある挑戦です。

    「電気をつくる」だけではない、J-POWERが目指すサステナブルな未来

    J-POWERは電力の安定供給を重要な使命とする一方、社会全体のサステナビリティを高める新たな価値創出も続けています。OPTのプロジェクトはJ-POWERが化学製品の製造を行う点において、まさに新たな価値を創出するために異なる分野に挑戦している一例でもあります。

    将来的なネガティブエミッションのイメージ

    2025年現在、現地でのサンプル採取と調査を終え、パイロットスケールのプラント建設準備を進めています。数年後の商業化を視野に入れており、その後さらなる投資と事業拡大を計画中です。

    これまで培ってきた発電所建設や運転管理のノウハウは、本プロジェクトにも随所で活かされています。例えば、GEIとの技術連携における事業全体のマネジメント、現地での調整・交渉・信頼構築など、J-POWERが担う役割は多岐にわたります。

    J-POWERはGEIと共にOPTプロジェクトの商業化に向けた取り組みを進めることで、環境問題だけでなく国内外の経済発展や資源活用の面にも配慮した価値創出を目指し、サステナブルな社会づくりに貢献していきます。

    Green Earth Institute株式会社

    微生物の力を使って再生可能資源である生物由来資源を原料に、バイオ燃料やグリーン化学品を製造するバイオリファイナリー技術の研究開発企業。非可食バイオマスの活用に優れ、食用資源と競合しない植物の茎・葉等や木材残渣などから高い生産性を実現するバイオプロセスを構築して、グリーン化学品の低コスト化の可能性を追求しています。https://gei.co.jp/ja/

  • Company

    Green Earth Institute株式会社

  • イノベーション推進部

    小村 祐司

    Yuuji Komura

  • この記事をシェア

  • Company

    Green Earth Institute株式会社

  • イノベーション推進部

    小村 祐司

    Yuuji Komura

  • 関連記事

    About Innovation Catalog

    J-POWER Innovation Catalog〜未来を共創する羅針盤

    J-POWERイノベーション推進部は、「新たな未来を共に創造する」というミッションのもと、カーボンニュートラル達成と地域社会への貢献という大きな目標に挑戦しています。

    この度、私たちの取り組みやビジョンを社内外の皆様と広く共有し、具体的なアクションへと繋げるためのハブとして、オウンドメディア「J-POWER Innovation Catalog」を立ち上げました。本メディアは、私たちの活動を網羅的にお届けする目録(カタログ)であり、未来への羅針盤となることを目指します。

    イノベーションの最前線に立つ方々との対話、イノベーション推進部が投資し、共に社会課題の解決と新産業創出を目指すポートフォリオ各社、社内外のCVCネットワーク、そしてJ-POWERの保有するリソースやアセットといった点と点が、Innovation Catalogを通して有機的に繋がり、未来を紡ぐ。Innovation Catalogは連携を通して持続的な世界を築く、未来を照らすカタログです。