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ハイドロヴィーナス
更新日:2025.10.2
公開日:2025.9.30
身の回りの水の流れをエネルギー源に変えるという挑戦
株式会社ハイドロヴィーナス(以下、ハイドロヴィーナス)は、水の流れにより半円柱型の振り子を振動させて発電する水力発電システム「Hydro-VENUS」の開発を行っているスタートアップ企業です。
Hydro-VENUSとは、Hydrokinetic Vortex Energy Utilization System(流体動学に基づく渦エネルギー活用システム)の頭文字に由来し、海から産まれたという伝説の美の女神、VENUS(ヴィーナス)にもちなんでいます。

身の回りの河川や水路、海を流れる潮流や海流などの水の流れで振り子を振動させ、発電する世界初の方式で、低コストで安定したエネルギーを作り出せるのが特徴です。従来のプロペラ式潮流発電に比べ、設置する環境条件に制限が少なく、流れがあればどこでもエネルギーを生み出すことができます。従来の水車の課題であった漂流物の絡まりも起こりません。
生態系とも調和する再生可能エネルギーで、ハイドロヴィーナスの横を魚が泳いでいく姿は実証実験ではよく見る景色です。山奥の河川や地下水路、降雪地帯など従来の太陽光発電が適用しにくい場所でも駆動できます。
具体的なアプリケーションとして、農業用水路の管理やダムなど水を管理する箇所での利用、海洋養殖現場やスマートブイなど海洋データ計測機器向けの電源などでの利用が直近の展開先です。将来的には防災用にセンシングネットワークを構築したり、ドローンなどの充電ポートを整備したり、水の流れがある場所で広がるローカルグリッドなど新たなインフラとなる可能性が期待されます。

流体励起振動に基づいた水流発電で持続可能なエネルギーを
ハイドロヴィーナスは、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(工)の比江島慎二教授が、自身の発明したHydro-VENUSを実用化するために2015年に創業した、大学発ベンチャーです。比江島教授は巨大な橋が風や水流で揺れる「流体励起振動」を抑制する研究を行なっていましたが、その厄介な流体励起振動を逆転の発想で発電に活用したのがハイドロヴィーナスです。その後、社会実装を目指す比江島教授と、ビジネスや経営の知見を持つ上田剛慈氏の出会いから同社は立ち上がり、現在は上田氏が代表取締役を務めています。
上田氏は、岡山大学工学部精密応用化学科および同大学院修士課程で電気界面化学を学んだ後、半導体洗浄装置メーカーに4年勤務しました。その後は東京大学の研究員となり、量子半導体物理分野で研究開発を行った経歴を持つ方です。波長10-50μmのテラヘルツ端(遠赤外線)領域で世界初の単一光子検出に成功し、東京大学の博士(学術)を取得しました。独立後は先端計測器の国際マーケティングや新事業立ち上げにも携わっており、先端技術の社会実装におけるさまざまな経験をハイドロヴィーナスでは生かしています。
J-POWERには水力発電部門があり、北は北海道から南は九州まで、多くの現場を持っているのが強みです。身の回りの水の流れをエネルギー源に変え、枯渇資源に頼らない持続可能な社会作りへの貢献を目指すハイドロヴィーナスの革新的なアイデアや事業モデルと、当社が発電事業で培ってきた技術やノウハウがシナジーを出せると考え、投資を決断しました。現在は、当社のダム地点における取水設備にて、遠隔地での通信用電源確保という課題解決に向けて共同実証を行っています。
将来的には全国の水力発電所に、この水力発電システムを共同で販売したいと考えています。また、より出力が大きくなった発電機を当社のみならず世界中の海洋におけるビジネスで利用できるようにすることが、長期的な展望です。
Company
株式会社ハイドロヴィーナス

Author
イノベーション推進部
稲福 大
Tomo Inafuku
Company
株式会社ハイドロヴィーナス
Auther

イノベーション推進部
稲福 大
Tomo Inafuku
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