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新日本繊維
更新日:2025.10.2
公開日:2025.7.15
BASHFIBER®─石炭灰から生まれる次代の素材
新日本繊維株式会社(以下、NFC)は、資源とエネルギーをより身近にすることをビジョンに掲げた、大学連携ベンチャー企業です。火力発電所で生じる石炭灰を原料とした長繊維を生産する技術を持っています。石炭から綿状の短繊維を作る技術はこれまでもありましたが、糸状の長繊維を生産する技術は希少です。
NFCが開発した連続長繊維「BASHFIBER®(バッシュファイバー)」は、高強度で耐熱性や耐薬品性といった特長を持たせることができます。アラミド繊維やガラス繊維など既存の産業用繊維補強材の代替として、建築・土木分野や自動車などの産業資材等の幅広い分野に利用できる可能性があります。
ガラス繊維の原料となる石灰石(炭酸カルシウム)はCO2を発生させる物質です。しかし、BASHFIBER®を使えば、原料中の石灰石使用量が減少しますので、ガラス繊維原料に起因するCO2発生を抑え、カーボンニュートラルに貢献できます。
また、非常に融点が高いこともBASHFIBER®の特性です。ガラス繊維を樹脂と混ぜたものは繊維強化プラスチック(FRP)の素材として使われますが、ガラス繊維と樹脂は同じぐらいの温度で溶けてしまうため、熱による分離ができません。その点、BASHFIBER®は溶けにくいため、樹脂だけを溶かした後、残った個体を取り出してリサイクルできます。
発電事業の副産物に新たな価値を付与
さらに、石炭灰を有効活用できることも当社にとっての大きな利点です。発電事業の副産物である石炭灰は、セメントの原料として非常に安く取引されていますが、その石炭灰を高い付加価値を持った繊維として販売できるのは魅力的と言えます。
代表取締役の深澤 裕氏は、北海道大学大学院工学研究科で量子物理工学を専攻したのち、米エネルギー省ローレンスバークレー国立研究所や日本原子力研究所 物質科学研究部
といった日米の日本の研究機関に務めた経歴を持つ、放射線の専門家です。
BASHFIBER®自体がもともと放射線で劣化しづらい特性を持つ素材で、副原料を添加することで放射線を遮断する機能を持たせることもできます。そういった意味で、放射線研究の観点からも特異な性質を持つ素材と言えるでしょう。
商用販売できる素材の生産は数年先になりそうですが、現在、小型製造プラントによる安定生産の研究やサンプル品の生産に向けて取り組んでいます。2026年から2027年にかけて、サンプル品をもとにして買取先の確保をしていく予定です。

Company
新日本繊維株式会社

Author
イノベーション推進部
小山 祐司
Yuuji Koyama
Company

新日本繊維株式会社
Auther

イノベーション推進部
小山 祐司
Yuuji Koyama
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