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更新日:2025.11.4

公開日:2025.11.6

真の非化石電力100%を実現し、GXを推進──Scalarの技術で実現「環境価値プラットフォーム」

    J-POWER(電源開発株式会社)は、株式会社Scalar(以下、Scalar)ほか2社とともに、非化石電力*に時間的価値を付与する 「環境価値プラットフォーム」の共同開発を進めています。非化石電力の効率的利用とCO2の本質的な削減を、Scalar独自の分散台帳技術によって実現するプラットフォームの現在と未来を紹介します。

    *非化石電力は、再生可能エネルギーや原子力など、化石燃料を使わない電源で発電された電力のこと。

    非化石電力を正しく評価し、需給バランスを改善

    J-POWERがScalarと共同開発を進める「環境価値プラットフォーム」とは、非化石電力の需給バランスを記録する仕組みと、それを不特定多数の発電事業者、需要家(電力の利用者)に効率的に提供する場を指します。

    時間的価値を付与する「環境価値プラットフォーム」(イメージ)

    環境価値プラットフォームでは、非化石電源が発電した時間を正確に記録し、需要データと紐付けることで、時間帯ごとの環境価値を顕在化させることができます。この構想に不可欠なデータの真正性の証明には、Scalar独自の合意プロトコルを用いた分散台帳技術が活用されています。

    CO2排出量削減という喫緊の課題に対する打ち手のひとつとして、再生可能エネルギーへの注目が近年高まっています。日本でも再生可能エネルギーの導入は着々と進んでいますが、そのすべてがCO2の本質的な削減に資するかというと、そうとは言い切れません。例えば、太陽光発電は昼間しか発電できないため、夜間や天候不順の際にはCO2の排出量が多い電源に切り替えて不足分の電力を確保する必要があります。

    現状の電力取引においては、発電におけるCO2排出の有無を基準とした「非化石証書」が非化石電力利用の証明として有効です。しかし「非化石証書」は発電された時間帯の電力の供給自体を証明するものではありません。結果として、太陽光発電ができない夜間などは他の電源から電力を供給されたとしても、その時間帯も非化石電力を活用していると評価されてしまうことになります。

    こうした課題を解決するため、非化石電源を含めた各電源が発電した時間を正確に記録し、それと電力の消費データを紐づけることで需給バランスを時間帯ごとに可視化できる、環境価値プラットフォームの開発を始めました。

    Scalar独自の技術で効率的にデータの真正性を証明

    環境価値プラットフォームの実現においては、データの真正性の証明という技術的課題がありました。特に発電された電気は送電網に繋がれた時点で混ざり合うため、「どの発電所で、いつ、どれだけ発電されたか」を識別し、発電データを時間単位で追跡し、そのデータ第三者証明・保全する技術が必要でした。

    その課題に活かされているのが、Scalarの技術です。Scalarの分散台帳ミドルウェア「ScalarDL」は、独自の合意プロトコルによってデータの改ざんを検知する技術です。発電データを記録時点から改ざん検知できる追跡可能な形で真正性を証明・保全し、「この電力は確かに再生可能エネルギーで発電されたもの」という証明を揺るぎないものにします。

    同技術を用いれば、データを高速かつ低コストで保全できます。データの真正性を証明する手段として一般的なのはブロックチェーン技術ですが、従来のブロックチェーン技術では、データが増えるほど処理速度が遅くなるととともに、コストの問題があります。一方、ScalarDLは企業が利用している通常のデータベースと組み合わせて使えるため低コストで、速度と安全性の両立を実現できます。電力データのような大量の情報を、リアルタイムで保全する場面でもスムーズに対応できる技術は、まさに環境価値プラットフォームの実現に適したものでした。

    データと企業の信頼性をベースに、GXを促進・拡張する構想を描く

    環境価値プラットフォームは、環境活動に積極的に取り組む企業や需要家のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を後押しすることが期待できます。「CO2排出量ゼロ」を透明性高く証明できる仕組みでもあるため、それを認定するビジネスとかけ合わせ、環境に配慮した経営活動を証明したいという企業のニーズに応える展開も検討しています。一方、電力を供給する事業者側から見れば、発電した非化石電力の環境価値を需給バランスに応じて最適化して販売できる可能性も秘めており、伸びしろを感じる領域でもあります。

    今後競合他社が類似のプラットフォームを開発・展開する可能性も十分ありえます。しかし、利用するお客様側の視点に立ったとき、最も重要なのは「そのプラットフォームが信頼できるかどうか」です。その点において、J-POWERは電力のプロフェッショナルとして長年信頼と実績を重ねてきた優位性があると考えています。

    環境価値プラットフォームが浸透していけば、需要家はCO2の本質的な削減を実現しやすくなるだけでなく、産地証明の付与による地産地消電源の導入も促進されるはずです。また、カーボンクレジットなど電力以外の環境価値の流通にも同プラットフォームの構想を拡張していけば、いわば「GX銀行」のような機能を備えた進化も期待できるでしょう。

    J-POWERはScalarと共に再生可能エネルギー電力に関わる現状の課題を解決し、その先にあるカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大を目指していきます。

    株式会社Scalar

    「データマネジメントの未来を創る」というビジョンのもと、先進的なデータマネジメント技術を研究開発・提供。主力製品である「ScalarDB」と「ScalarDL」を通じて、異種・分散したデータベースシステムの複雑性を軽減し、データの整合性・真正性を確保しながら、企業におけるデータ管理の効率化やデータ活用を支援している。

    https://www.scalar-labs.com/ja

  • Company

    株式会社Scalar

  • イノベーション推進部

    中村 高士

    Takashi Nakamura

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